2022.09.06
全ての道はローマに通ず。全ての道は書店に通ず。
むかしむかし、人は歩いてローマに向かった。
暑い砂漠を歩いたり、寒い山を登ったり、途中、いろいろな街によってみたり、いろいろな人との出会いがあったり、ちょっと寄り道をしたり、やっぱりローマに向かうことをやめてみたり、ローマに向かうという目的の途中にたくさんの付随することがあった。
近代になり、ローマに行きたければ飛行機で数時間で到着できるようになった。
暑い砂漠も寒い山も、寄り道もなければ、行き先も変更できない。
昔は、本屋は用事がなくても人がぶらりと集まる場所だった。
何気なく手に取った本を開くと、
そこはあたらしい世界につながるみちがある。
こっちの世界じゃないな、あっちかな?なんていろんな世界の入り口を見ることができる。
今は、欲しい本をクリックすればすぐに手に入る。
実はたくさんある入り口を、見つける機会が減ってしまった。
世界はとんでもなく便利になった。
けれども寄り道することも、思いがけない出会いも、行き先を変更することもなくなってしまったことで、
人が豊かになる あそび=余白 の部分がなくなってしまった。
近年、人生に行き詰まる子供たちが多くニュースになっている。
きっとたくさんある世界の入り口に出会う機会が減ってしまったからではないのか。
もっと世界に出会える機会を増やすことができたなら、子供達の人生を豊かにできるのではないか。
そういう思いから、有隣堂さんは書店を続けている。