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2023.05.23

NEW ENERGY 2023年2月展 EMERGING出展者 濵﨑飛優×渡邊睦 スペシャル対談 前編

 

2023年2月開催のNEW ENERGYにて、エマージング(新出現)の枠で出展を果たした濵﨑飛優氏と本プロジェクトを手掛けるBlue Marble 渡邊睦のスペシャル対談。前編では、濵﨑飛優氏のこれまでの歩み、そして「Hiyou.」が生まれるまでのお話しをお届けします。

後編はこちら

※エマージングは、クリエイターの発掘・育成をサポートするインキュベーションのプロジェクトです。創造を続けるための支援や、飛躍に向けた挑戦を多角的にサポートする事を目指しています。エマージングは「独創的かつ創造的」なクリエイターの活動を応援します。

※以下対談中、話者の敬称は省略させて頂きます。


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渡邊)ではまず、濵﨑くん自身を知りたいです。まずは、これまでの歩みを聞かせてもらえるかな?

濵﨑)はい!私は5歳くらいから小学校6年生まで、油絵の教室に通っていました。とても楽しかった思い出があります。同時に、野球少年でもありました。小学校時代で油絵からは一旦離れました。野球は中学時代はキャプテンも任され、高校卒業まで打ち込んでいましたが、プロになるほどではありませんでした(笑)。

その後、進路を考えるにつれ、幼少期の油絵の経験や、職人だった父親の影響もあり、何かデザインやもの作りの道に興味が沸いてきました。ある日、何かの本でたまたま「ヒコ・みづのジュエリーカレッジ」の存在を知り、学校見学をしたところ、即入学を決断していました。それが、私の分岐点です。

ー 創作にのめり込んだ専門学校時代 ー

渡邊) 野球青年が、ジュエリーの専門学校に!? 専門学校では期待通りの学びがありましたか?

濵﨑) 専門学校の通いはじめは、高校時代から続けていたバンド活動にハマってました(笑)。演奏活動の他、ロゴやライブのフライヤーなどの制作を私が手掛けていたので、創作欲求も満たされ、2年生ぐらいまではバンド活動に傾倒気味でした。ただ、3年生になった頃、海外で活動されている先生方と出会った事により、もっとモノ作りに真剣に向きあってみようと、制作活動に打ち込むようになっていきました。

学校では、一年生は基礎、2年生からはより専門的なコースを選択するという流れでした。私は先輩や先生の助言により、ファッションアートアクセサリーコースを選択しました。実はこのクラス、入ってみると、15人中男性は私一人だけ、あとは全員女性でした(笑)。ここでは、いわゆる彫金や貴金属を使ったジュエリー製作ではなく、ありとあらゆる素材を駆使した自由度の高いアートジュエリーの世界を学びました。

最初の課題は、ありとあらゆる身の回りの素材を自ら持ち込み、その素材を使って100個の指輪を創るというものでした。素材の魅力をどうやって引き出すのか?多方向からの視点を習得する事が目的でした。ただ、当時の私はなぜか、その課題にあまり打ち込めませんでした。というか、どうしても手が動かず、苦心した記憶があります。

その後、海外から招待された先生方との出会いや、感性の触れ合いがあり、創作に打ち込んでいくようになりました。通常なら3年間で修業課程は修了し、卒業となりますが、私は研究生としてそのまま学校に残留、翌年は特別研究生(学費無料で在籍できる制度)にとお声がけ頂き、トータル5年間専門学校に在籍しました。最後の1年間は、とにかく作品作りに没頭し、海外のコンペに精力的に出品しました。最初に応募したのが、イタリアのコンテストだったのですが、運よく受賞する事ができ、他国の展示会からお声がけ頂ける事になり、創って は出品してを繰り返し、日本と海外を行き来する、本当に目まぐるしい1年間でした。

学生の時の作品
学生の時の写真

渡邊) なぜそこまで創作にのめり込めたのかな?

濵﨑) このコンテンポラリージュエリーの世界で、認められたい!という思いが強かったように思います。とにかく、有名になりたい!ですね(笑)

ー 創作と教育の場を行き来する中で生まれた、自身のブランド「Hiyou.」

濵﨑) 卒業後、3年生の時にお世話になった先生が大阪で学科長をやっており、助手をしてみないか?とお声がけ頂き、新天地での活動の魅力もあり、大阪に移りました。当時、無償でスタジオも提供頂いて、自身の創作活動しながら、先生の助手をするような生活でした。

その後助手の2年間の契約期限を終えて、ひと月ほど創作一本に絞って活動をしようと挑戦してみましたが、人との関わりが欲しく、本業は創作活動ですが、別の仕事をしてみよう!と。それで今、デジタルやグラフィックに関して大人の為の学びの場を提供するスクールで運営や広報をやっています。なぜか学校に縁がありますね(笑)

渡邊) そうだね、専門学校も3年のカリキュラムのところを通算5年間通い、その後も先生の助手、そして今はスクールの広報。なんか一環してるね。同時に精力的に創作活動にも向き合う。どっちも行き来できるって、なんかすごいね!それが濵﨑くんの個性の源になっていると感じる。

濵﨑) 正直、器用貧乏になってないかな…と不安になるときはあります。

渡邊) 創作という個性と感性を必要とする活動と、教育という協調性とロジカルな思考が必要な活動、両方を持っている事こそが今の濱崎くんの個性を作っているような気がするな。人間の多面性や深みを鍛錬できる環境に、あえて身を委ねているというか。急がば廻れ、ということわざにあるように、一つの事に集中したら、達成スピードが速そうに感じるけど、濵﨑くんにしかない個性を鑑みると、両側を行き来する、両立することが大事なんじゃないかな?恐らく、今後フェーズが変わる瞬間もあると思うし、無理に変えようとする必要はないと感じる。

ところで特別研修生の時、とにかく創作に没頭していたという話だったけど、今のような創作と教育を行き来する創作スタイルにシフトしたのは、何か理由があったのかな?

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濵﨑) コロナが大きなきっかけですね。それまでやっていた海外のコンテストへの出品が難しくなり、制作環境やスタイルを変える必要に迫られました。それで、日本で活動するには?と考えた時、マーケットで流通させるジュエリーブランドを展開してみようと思い立ちました。ある程度、財政的な基盤の為にも、作品展開だけではなく、流通を伴うブランド展開の必要がありました。そこでジュエリーブランドを立ち上げ、大阪のとある展示会に出品し、百貨店さんなどでポップアップをする機会を得ました。ただ、正直ブランドの方向性に迷っていたと実感しています。表現すべき事が定まらず、ブランドとしての顔がありませんでした。

その後、いろいろと画策する中で、パーソナルな展開をブランドのコンセプトにしたい、と思いはじめ、ようやくしっくりきたんです。アイテムに穴を設え、石やチャームでカスタマイズできる仕様にしたり、どんな人種、どんな体系であっても、フィットする調節可能なチェーンをデザインしたり…。誰かの為を思って作るジュエリー、長く人生に寄り添うジュエリーブランドにしたい、そう思ってリブランディングに踏み切りました。 実はリブランディングの構想のタイミングとエマージング選出が重なり、NEW ENERGYで新生「Hiyou.」のお披露目ができた、という感じです。

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後編へつづく・・


Profile

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渡邊睦:NEW ENERGY コンセプター兼 クリエイティブディレクター

2002 年に渡仏し、帰国後に 合同展 rooms を設立。 2009 年「繊研賞」、2011 年「毎日ファッション大賞 内 鯨岡阿美子賞」を受賞。 2022 年に独立し、Blue Marble を旗揚げ。

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濵﨑飛優:NEW ENERGY 2023年2月展 EMERGING出展者

1996 年 生まれ。ヒコ・みづのジュエリーカレッジ特別研究生終了後、 母校にて二年間講師として働く。 オランダのコンテンポラリージュエリーギャラリー マゼーで開催された International graduation exhibition での作品発表後、ミラノ、ルーマニア、ドイツ etc… ヨーロッパを中心に作品を発表。

日常に溢れる未整理な色の世界から生きる人々の膨大なエネルギーを感じ制作活動を行う。

金属は勿論、プラスチックや塗料、様々な素材の特性を利用した装身具は、 独自の製法で生まれ、まさに色の爆発の瞬間を捉えたようなテクスチャーが特徴。その他、インテリアやインスタレーションなど挑戦の幅を広げる。また、活動の一環として、ジュエリーブランド「Hiyou.」を 2020 年に設立。Hi→you と何百万通りからあなたへ、パーソナライズなジュエリーを制作。


EMERGING(エマージング)

クリエイターの発掘・育成をサポートするインキュベーションプロジェクトです。オーディションは通常よりも厳格に行い狭き門となりますが、創造を続けるために支援が必要な方、また飛躍に向け挑戦されたい方は是非お気軽にエントリーください。なお、EMERGINGプロジェクトの支援内容は、NEW ENERGYのブース無償提供+広報支援+営業支援を中心に、双方の協議により決定します。


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