ASIA.003
2023.11.14

プレイベント開催レポートvol.4 -韓国編 Woochi Jeon氏【新たな参加型クリエイティブアクション Another Perspective】

次世代クリエイターを見出し世界へ発信する、参加型応援プロジェクトがいよいよ今秋より始動。
それに伴い、今年2月にアジア4カ国のクリエイティブシーンにおけるキーパーソンが来日し、NEW ENERGY TOKYO 2月展でプレイベントを開催。約250ブランドのニューエナ出展者から、キーパーソン4名がそれぞれの視点でグローバルに活躍して欲しいと願うクリエイターを選出しました。(プレイベント概要はこちら
レポートvol.1(選出結果)はこちら
レポートvol.2(中国編)はこちら
レポートvol.3(インドネシア編)はこちら

vol.4は韓国のWoochi Jeon氏のレポートをお届け 。選んだクリエイターは「しんこきゅう」。韓国へと越境し共創いただくためのヒントやきっかけとなることを願い、なぜ、韓国での活躍を願うのか?活躍できると思ったのか?を聞きました。


Korea

Woochi Jeon / チョン・ウチ
Eloquence Magazine Founder & Editor in chief

portrait Woochi Jeon

<選出した出展クリエイター>
しんこきゅう / 堆朱杏奈
https://www.instagram.com/shin_cokyu/

東北芸術工科大学で漆芸を学ぶ。
在学中に体験した東日本大震災から「食事の時間」は一日の中で人と関わるかけがえのないものではないかと思い器を作ることを決意。
石川県山中漆器産業技術センターにて伝統工芸の木工ろくろを学びかねてから師事していた辻新太郎の元で4年間修業。
親方の仕事を引き継ぎ独立。
9年漆器産地で原木不足や後継者不足等の問題を目の当たりにし、解決策の一手として「しんこきゅう」を立ち上げる。

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韓国の最近の社会的な状況について
パンデミック以後、韓国の経済は日本の90年代初めのように不動産バブルが弾けたことで多くの課題が生じている。 経済学者たちはこの期間に、多くの産業構造が変わると予想しており、大企業をはじめ、さまざま な分野の企業は新たなビジョンを描き、未来に向けて多くの投資と努力を傾けている。 そんな中、カルチャーとアートのマーケットは前例のない好況を迎えている。
2022年、アジアでは初めて ソウルで開催されたFrieze Art Fairが大成功を収めたことを受け、Art Baselもソウルで開催するよう積極的に誘致中だ。これに伴い、世界的なギャラリーが先を争うようにソウルに進出し始めるという現象が起きている。 社会面では、尹錫烈(ユン·ソクリョル)大統領は日本との積極的な交流を強く望んでおり、先日の日本訪問を通じて岸田総理と一緒にオムライスを食べながら両国間の関係改善に積極的な姿勢を見せている。 

主な選出理由
地域の伝統工芸は非常に保守的であることが多い。その部分においては韓国も同じだ。8年間もの間、師匠に仕え工房で修行を積んでいることだけでも素晴らしい姿勢だが、さらに彼女はこれを跳び越えて自身の工法を研究し、現代社会が求めているデザインに進化させることにも挑戦をしている。そして、最も重要なポイントは、NEW ENERGYへの参加に反対した師匠を説得し参加したという点だ。NEW ENERGYに参加したブースの中では、より優れた技術を持つチームもあったが、私が彼女を選出した理由は地域と都市、師匠と弟子、伝統と未来という最も高いハードルを正面から跳び越えようとする彼女の姿勢だ。  

作品やクリエイターについての第一印象
聡明な眼差しで自分の作業について、積極的に説明しようとするエネルギーがすごかった。そのようなエネルギーは常に情熱と経験、そして愛情という3拍子を備えてこそ噴き出すエネルギーだ。彼女の制作におけるストーリーを聞くことができ、私は彼女との対話で大きな共感と感銘を受けた。 

韓国において紡ぐべき社会文脈 
韓国の社会文脈や流行にとてもフィットすると思う。韓国も日本と同じく伝統文化に対して非常に保守的であることから、伝統工芸がますます現代のトレンドから遠ざかった時期があった。しかし去年から文化芸術業界で最も多く使われる単語の一つが「遺産」という単語だった。 多くのブランドやクリエイターは遺産というキーワードを非常に重要視しており、NEW ENERGYから今回、私が選出した彼女は韓国の現在の流れに沿うための良い条件を備えている。 

韓国で愛される存在となるためのキーポイント
日本の地域伝統工芸に対する価値と歴史についても同時に伝えてこそ、彼女がより愛される存在になるだろう。実際、私は今回のNEW ENERGYで彼女に出会ってから、日本には伝統木器工房がいくつあるだろう か? という疑問を抱くようになった。 

韓国で愛される存在となるために変化させるべきこと / 変化させないほうが良いこと 
特に何かを変える必要はないと思う。すでに愛されるポイントは備えていると思う。師匠が教えてくださる伝統における大切なことをもっと磨かなければならない。それがすなわち彼女のアイデンティティになるだ ろう。 

韓国で共創したいこと
私が選んだクリエイターや韓国側にいるレビュアー、そしてNEW ENERGYの関係者とともに、日本地域の伝統木器工芸クリエイター(彼女と同じようなムードで作業をしていく若き木器工芸家)をキュレーションし、ソウルで木器POP UPをしてみてはいかがだろうか? NEW ENERGYのPOP UPプロジェクトとして実施できれば、とても人気がでるだろう。ソウルで実施した後は、アジアの各都市を回りながらPOP UPをしても面白いだろう。 

●メッセージ
揺れないでください。 あなたは十分にうまく進んでいます。いつも尊敬と応援の気持ちを送ります。 

次回はタイ編 Kanoknuch Sillapawisawakul氏のレポートをお届けいたします。

SHERE
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